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【問題視児童取調べ】兵庫県警12歳少女に強要 虚偽自白と人権保護

事件・逮捕

今回は兵庫県で起きた衝撃的な事件について、詳しくお伝えします。12歳の少女が警察の取り調べにより虚偽の自白を強要された事例は、子どもの人権保護と捜査手法の適正さについて私たちに重要な問いかけをしています。朝日新聞の報道を基に、この問題の詳細と社会的意義について考察してみます。

突然の呼び出し:12歳の少女が直面した恐怖体験

2022年2月末、兵庫県内に住む51歳の母親は、兵庫県警から一本の電話を受けました。電話の内容は「お子さんを警察署に連れてきてください」というものでした。

理由を尋ねても、警察官は「お話しできません」と答えるのみ。不安を抱えながらも、母親は小学6年生の娘(当時12歳)を連れて指定された警察署へ向かいました。

警察署に到着すると、母親と娘は別々の部屋に通されました。そして初めて、驚くべき容疑内容が告げられたのです。警察によれば、「あなたの娘さんは、男子クラスメートの性器を10回以上、他の女子児童と共に触った」というものでした。

これは、どのような家庭でも直面したくない状況です。何の前触れもなく警察に呼び出され、子どもが性的な行為の容疑をかけられるという体験は、親子ともに大きな精神的ショックを与えるものです。

少女は当然のことながら、「そんなことはしていない」と否定しました。しかし、この否定が長時間の取り調べの始まりとなるのです。

3時間半以上の密室取り調べ:少女を追い詰めた誘導尋問の実態

警察署の小部屋で行われた取り調べは、午後4時頃から始まり、午後8時頃まで続きました。実に3時間半以上もの間、12歳の少女は保護者の立ち会いなしに、女性警察官による尋問を受け続けたのです。

取り調べの手法と疑問点

取り調べの過程で、警察官は次第に具体的な質問を始めました。2023年10月の修学旅行中や、11月から12月にかけての休み時間に、クラスメートの性器を触ったかどうかを執拗に問い詰めたのです。少女は最初、そのような行為をした記憶はないと繰り返し答えていました

しかし、警察官の質問は次第に誘導的になっていきました。「何か思い出せることはない?」「思い出せないはずがない」といった言葉で少女を追い詰め、「鬼ごっこの最中にクラスメートの股間に触れた」という記憶を「思い出す」よう促したのです。これは明らかな誘導尋問ではないでしょうか。

長時間の取り調べの末、疲労と精神的圧力に耐えられなくなった少女は、ついに「鬼ごっこ中にクラスメートの股間に触れた」と「自白」し、「謝罪文」を書かされました。少女は後に母親に「どれだけ説明しても『思い出せ』と言われるばかりで、帰りたかったけど帰してもらえなかった。忘れた私が悪いのかと思った」と語っています。

浮かび上がる真実:虚偽告訴と証言の信頼性問題

その後の展開で、この事件はさらに複雑な様相を呈することになります。取り調べから1ヶ月後、警察は家族に対して「被害者の証言によれば、教室内で10回以上触られたという事実はなかった」と説明したのです。

つまり、当初の被害申告が虚偽だったことが明らかになったのです。

虚偽告訴が明らかになった経緯

この事実が判明したのは、少女の両親が警察署を再訪問し、娘の「自白」の撤回を求めたことがきっかけでした。警察官は「被害者の証言に疑いが生じている」と認めざるを得なかったのです。

これにより、少女が長時間の取り調べで自白を強要されたのは、そもそも存在しなかった行為についてだったことが明らかになりました。

法律の専門家によれば、14歳未満の児童は刑事責任を問われない「触法少年」として扱われます。つまり、この少女は法的には罪に問われる可能性はなかったのです。にもかかわらず、警察はこの事実を家族に明確に伝えることなく、あたかも犯罪容疑者のような扱いで取り調べを行いました。

この事例は、子どもの証言をどのように評価すべきか、また虚偽の申告が他の子どもに与える影響について、深刻な問題提起をしています。特に性的な内容に関わる事案では、証言の信頼性を慎重に検証することが不可欠です。

日本の捜査システムにおける構造的問題:密室取り調べと自白偏重

この事件は、日本の捜査システムが抱える構造的な問題点を浮き彫りにしています。特に注目すべきは、「密室での取り調べ」と「自白への過度の依存」という二つの問題です。

密室取り調べの問題点

人権活動家や法律専門家たちは長年、日本の捜査機関による「密室取り調べ」の問題を指摘してきました。特に子どもや社会的弱者が対象となる場合、このような閉鎖的環境での尋問は心理的圧力となり、虚偽の自白を誘発する危険性があります。

本事例でも、12歳の少女が保護者の立ち会いなしに3時間半以上も取り調べられた事実は、深刻な問題です。子どもの発達段階や心理的脆弱性を考慮せず、大人と同様の取り調べ手法を適用することの妥当性が問われています。

自白偏重捜査の危険性

兵庫県警のこの事例からは、証拠より自白を重視する捜査姿勢が見て取れます。そもそも被害申告の信頼性を十分検証せず、否認する少女から「自白」を引き出すことに力を注いだ様子がうかがえます。

この自白偏重の姿勢は、冤罪を生み出す温床となりかねません。特に子どもは暗示や誘導に弱く、権威ある大人からの圧力に屈しやすい傾向があります。取り調べにおいては、このような子どもの特性を十分に考慮した上で、適切な配慮が求められるのではないでしょうか。

子どもの権利保護と捜査手法の改善:今後の課題と提言

この事件から学び、再発を防止するためには、どのような対策が必要でしょうか。子どもの権利保護と捜査手法の改善について、いくつかの重要な課題と提言を考えてみます。

子どもの取り調べにおける保護措置の強化

子どもの取り調べにおいては、以下のような保護措置が必要ではないか:

1. 取り調べ全過程の録音・録画の義務化
2. 保護者や弁護士などの第三者の立ち会い権の保障
3. 取り調べ時間の厳格な制限(例:1回につき1時間以内)
4. 子どもの年齢や発達段階に応じた専門的な取り調べ技術の習得

これらの措置は、捜査の透明性を高め、子どもへの不当な圧力を防止する上で重要です。

被害申告の信頼性検証の徹底

性的な内容を含む事案では特に、被害申告の信頼性を慎重に検証することが不可欠です。証言のみに頼らず、客観的な証拠の収集や矛盾点の確認など、多角的な視点からの検証が必要です。

また、子どもの証言を評価する際には、子どもの発達心理学や司法面接の知見を活用した専門的アプローチが求められます。単に「大人のミニチュア」として子どもを扱うのではなく、その特性を十分に理解した上での対応が必要です。

虚偽告訴の背景要因の理解と対策

虚偽の告訴や証言が生じる背景には、様々な要因が考えられます。いじめや人間関係のトラブル、大人からの影響、あるいは単なる誤解や記憶の歪みなど、複雑な要素が絡み合っている可能性があります。

これらの要因を理解し、適切に対処するためには、学校・家庭・地域・専門機関の連携が不可欠です。子どもたちが安心して本当のことを話せる環境づくりや、問題の早期発見・対応の仕組みを整えることが重要です。

まとめ:子どもの人権と司法の公正さを守るために

兵庫県警の12歳少女への取り調べ問題は、子どもの人権保護と捜査手法の適正さについて、私たちに重要な問いかけをしています。この事例から学ぶべきことは多岐にわたりますが、最も重要なのは「子どもの最善の利益」を常に最優先する姿勢ではないのか。

警察をはじめとする司法機関には、真実の追求と同時に、関係者の人権を守る責務があります。特に社会的弱者である子どもに対しては、より一層の配慮が求められます。密室での長時間取り調べや誘導尋問といった手法は、真実を歪め、子どもに不必要な心理的負担を与える恐れがあります。

また、この事例は警察の初動捜査の重要性も示しています。被害申告の信頼性を十分に検証せずに捜査を進めることは、冤罪のリスクを高め、無実の子どもに深い心の傷を負わせる可能性があります。

私たち社会全体としても、子どもの権利に対する理解を深め、子どもが安心して生活できる環境づくりに取り組む必要があるでしょう。子どもの声に真摯に耳を傾け、その最善の利益を守ることは、私たち大人の共通の責務です。

この事例をきっかけに、子どもの取り調べのあり方や捜査手法の改善に向けた議論が深まることを願ってやみません。そして何より、この事件で心に傷を負った少女の心の回復を心から願います。

※本記事は朝日新聞(2022年4月7日付)の報道「Hyogo police compel girl, 12, to ‘confess’ to bogus sex acts」を参考に作成しました。記事の内容は報道時点の情報に基づいており、その後の状況の変化については反映されていない可能性があります。### [【問題視される児童取り調べ】兵庫県警が12歳少女に強要した虚偽自白の全容と子どもの人権保護](/spark?id=93d60e47-d30d-47dc-aa91-6a8be5e43cd7)

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